スポーツ雑記4月号

スポーツ雑記4月号

皆さんは「ナチュラルリュージュ」という競技種目があるのをご存じか。
リュージュといえば「りんごちゃん」の愛称で親しまれ、
1972年札幌五輪で5位入賞を果たした小林優子(旧制大高)さんが
ウインタースポーツファンにはおなじみだが、小林さんのは鉄骨造で
専用に作られた人工走路を滑走するアーティフィシャル種目(AL)。
ナチュラル種目(NL)は林道やゲレンデの雪を固め、
水をまいた氷上コースでタイムを競うもので現在
、国内には競技者が2人しかいない。同種目の普及に奔走するのが、
北海道教大岩見沢1年の田中祥兵(38)と藤原香夏(19)だ。
 田中は03年に22歳で脱サラしソリ競技を始め、ALでは17年
全日本選手権を制した実力者。NLの普及を目指し、37歳で同大に入学し
「競技を広め、岩見沢をソリの町にしたい」と強い決意で未開拓の
競技に挑んでいる。藤原は五輪種目であるスケルトンでは17、18年の
ジュニア五輪優勝を果たしているが
「一緒なのはソリ競技というくくりだけで全然違う」。
速度は直線で時速70キロほどだが、
コーナリングなど高い操作性が求められるNLの難しさを語る。
 岩見沢市とは冬季期間にいわみざわ公園内の土地利用で合意しており、
今年は積雪が少なく本格的なコース作りは断念したが、
2月にはソリ競技の体験会を実施した。
26年冬季五輪は競技が盛んなイタリアで開催地、札幌が立候補している
30年大会も見据えながら将来の五輪採用へ、開拓者としての2人の奮闘は続く。
 コロナウイルスの感染拡大により、
東京五輪・パラリンピックの開催延期が決定した。20年に照準を合わせてきた
アスリートにとっては、すでに代表が決定している、いないにかかわらず、
今後の練習環境や試合勘を落とさないための体力面、
メンタル面のコンディション作りが大切だ。決してマイナス思考にならず、
前向きにこの試練を乗り越え、
晴れの舞台で最高のパフォーマンスを見せてほしいと切に願う。
<日刊スポーツ長内 準>

 

<写真説明>
ナチュラルリュージュの五輪種目採用に向け、競技の普及に奔走する北海道教大岩見沢の田中(左)と藤原

「創成東、人とつながる街」

「創成東、人とつながる街」

 札幌市中心部を南北に流れる創成川。その東側の地区に住んで3年になる。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で最近は人通りが少なくなったが、
川の近くにある二条市場は観光スポットとして有名だ。北海道神宮の頓宮がひっそりとたたずみ、
路地を入ると、チョコレートの専門店やロールケーキがおいしい店もある。
北海道新幹線の札幌延伸もあって開発の声が聞かれる地区だが、
マンションや小さな商店が立ち並ぶ、この街の雰囲気を気に入っている。
そんな創成東地区で街づくりに取り組んでいる人がいる。
「一般社団法人 さっぽろ下町づくり社」の柴田寿治さんだ。
二条市場の向かい、寿珈琲店の店主でもある。
きっかけは、この地区のまちづくりを目的とした札幌市などによる勉強会だ。
柴田さんらが「自分たちにできることから始めよう」と2015年、
頓宮で「さっぽろ下町マルシェ」を始めた。
野菜や炭焼きの海鮮を売り、子ども向けのワークショップも行う。
1日で千人が集まる催しに育った。その後も地区では「さっぽろ下町づくり社」を中心に
エリアマネジメントの活動が続いている。
「地域の魅力を発信して、ヒトとマチをつなげたい。そのうえで街づくりに関わる人を増やす。
そうしたつながりを作る地域のハブ(結節)役でありたい」と話す。
18年9月の胆振東部地震では、頓宮に避難してきた人たちへの炊き出しに関わった。
店の客や若者も巻き込んで支援をし、地域のつながりの大切さを強く感じたという。
創成東地区はここ15年で人口が倍程度に増えており、今後も開発が続く見込みだ。
「開発が進んでも『下町』らしいつながりが安心・安全を生む街にしていければ」と柴田さん。
「つながり」を実感することで、落ち着いて暮らせる。より魅力的な街になっていくことを期待したい。

                                                                        朝日新聞北海道報道センター次長 天野彰人

 

【写真説明】 創成川から東方を臨む。二条市場の後ろには高層マンションが見える=札幌市中央区

 

スポーツ雑記3月号

スポーツ雑記3月号

 私事で大変恐縮なのだが、50歳代になってから正月だけはどんなに深酒しても、
早起きする習慣がついた。なぜかといえば、「箱根駅伝」をテレビで応援するためである。
関東学生陸上競技連盟の加盟大学による大会で、北海道代表のチームが出場する訳
ではないのだが、「襷(たすき)」をつなぐ各大チームの必死さ、レギュラーに選ば
れるまでの努力、チームメートとの隠れたエピソードなどに胸を打たれる。
何より、その中に道産子ランナーを見つけると、さらに応援に力が入ってしまうのだ。
 もちろん、同駅伝からは20年夏季五輪東京大会マラソン代表の中村匠吾ら、
数多くのトップ選手を輩出してきた。
さらに2月2日の別府大分毎日マラソンでは、1月の箱根駅伝で総合優勝を果たした
青学大の吉田祐也(4年)が、初マラソンで日本歴代2位の記録で2位に入る活躍を
見せるなど、将来の五輪代表争いもすでに始まっている。
 その箱根駅伝で惜しくも総合連覇は逃した東海大だが、8区(21・4㌔)を走った
小松陽平(4年、東海大四高=東海大札幌出)が2年連続の区間賞を獲得する力走を見せ、
復路優勝に貢献した。また、前年19年大会では同じ8区で22年ぶりに区間記録を塗り替えて
チームを初の総合優勝に導きMVPにも輝いた。
小松は今春4月から実業団のプレス工業入りが決まっており、2
4年パリ大会(仏国)、28年ロサンゼルス大会(米国)と五輪2大会連続出場を目標に掲げた。
 「長距離選手であるからには最終的にはマラソンに挑戦するべきと思っている」。
30歳で迎える8年後のロス五輪に、マラソン代表としてスタートラインに立つことが
最終目標だが、高速化に対応するため、まずはトラック(1万㍍)で記録を追い求め、
4年後のパリ五輪代表入りを目指す。
 札幌小野幌小3年から、札幌厚別中学まではバスケットボールに打ち込み、
高校に入ってから陸上競技に転向した。
箱根路を沸かせた「走り」で、今度は世界中を沸かせてほしいと願う。
                             <日刊スポーツ販売部長 長内 準>

鈴木知事の就任2年目は?

鈴木知事の就任2年目は?

札幌勤務3年目になります。昨年5月から道庁の担当になり、38歳の若い鈴木直道知事を取材しています。

鈴木知事は元東京都庁の職員で、夕張市長を経て、昨年4月の知事選で圧勝して知事に就任しました。細面でスラッとした美男子です。加えて普段の記者会見などでも失言がなく、人気が高いのも分かります。

そんな鈴木知事ですが、前任の高橋はるみ知事同様、公務員出身だけに部下の書いた原稿に沿った答弁や発言に終始することが多いのも事実です。「面白味がない」とか、安全運転で「若さがない」といった評価がつきまといます。

我々報道する側としては「安全運転」より多少、自分の言葉で語ってもらった方が、その政治家を報道し甲斐もあるというものですが、それはそれで鈴木知事の個性ですので仕方がありません。

就任以来の9カ月を見てきて、鈴木知事は3つの大きな決断をしました。

一つ目は副知事全員の交代。二つ目はカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致の是非。三つ目は幌延深地層の研究延長についてです。

5月、副知事の全員交代は道政では初でした。通常は最低でも1人は残して道政の継続性を保つものですが、思い切った人事刷新のアピールとも言われています。

二つ目のIRは全国で最大3カ所が選ばれると言われている中、鈴木知事は「誘致に挑戦」と表明はしましたが、2年後の申請は見送るという分かりにくい決断でした。

三つ目は幌延町で行われているいわゆる「核のごみ」と言われる放射性廃棄物の最終処分場に関する研究の延長の是非です。「核物質は持ち込まない」という約束のもと、地元の町の意向も受けて、「継続」を判断しました。

2月下旬からは、道議会で鈴木知事になって初めての本格予算の審議が始まります。就任2年目に向けて鈴木カラーをどう示していくのか、注目していきます。

 

朝日新聞北海道報道センター記者 戸谷明裕

【写真説明】

道庁の会議で幹部たちに話す鈴木直道知事(中央)

球春到来

球春到来

 球春到来を告げる「第92回選抜高校野球大会」の出場32校がこのほど決定し、北海道からは十勝地区の白樺学園、帯広農がともに初選出された。特に帯広農は全国9校の候補の中から3校が選ばれる「21世紀枠」で甲子園切符を手にした。北海道の同枠選出は13年の遠軽(北見地区)以来7年ぶり4校目となる。 同校は昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で女優・広瀬すずが演じるヒロイン・奥原なつが通っていた「十勝農業高校」のモデルになったことで注目された。部員のほとんどが将来は家業の酪農に従事するため進学しており、所属学科に応じた農業実習があるため、平日には全体練習ができないなどの環境面のハンディを抱えている。しかし、農業校らしい工夫で乗り越え、昨秋の全道大会では公立校で唯一ベスト4入りしたことが評価された。 代表校発表の1週前にチームで20年のキャッチコピーを考案したそうで、その名も「すず野球」。「スピード」「スマイル」「素直さ」の「す」と、「ず」は「頭脳的に」「ずばぬけた物を持とう」の頭文字から取ったという。同校は過去82年夏に1度甲子園出場を果たしているが、2回戦で益田(島根)に2-5で敗れている。以来、38年ぶりにつかんだ夢切符。舞台は〝お茶の間〟から〝甲子園〟に移るが、爽やかな「なつぞら旋風」をアルプススタンドにもぜひ巻き起こしてもらいたい。 また、昨年の秋季全道覇者で神宮大会4強入りした白樺学園は、一般選考で文句なしの選出。過去に甲子園は夏3度(06、11、15年)出場しているが、11年の1勝(1回戦で鳥取商に園長11回3-2)のみ。チームは神宮大会での経験を生かし、1大会2勝以上を目指している。昨年も前年の神宮大会Vで札幌大谷が「神宮枠」を獲得しており、北海道は2校出場だった。今年も野球ファンにとっては春の楽しみが2倍になるのだが、十勝勢が「ワンチーム」となってともに快進撃をするシーンを見たい。選抜甲子園の開幕は3月19日、今から対戦相手が決まる3月13日の組み合わせ抽選会が待ち遠しい。                                       <日刊スポーツ販売部長 長内 準>