紫陽花

紫陽花

我が家の小さな庭には、かつての家主が草木を愛する人物だった跡が残っている。

一昨年の春、真っ先に咲いたのはチューリップ。赤と黄色の鮮やかな、その花は元気そのものといった佇まいで庭先に君臨した。初夏には牡丹が大輪を咲かせてくれた。次に紫陽花が咲く事を心待ちにしていた。

しかし、夏を過ぎても紫陽花が咲く事はなかった。知人に話したところ、紫陽花は剪定をしないと咲かない事があると聞いた。少し残念な気持ちで一昨年は秋を迎えた。翌年も咲かなかった。

きっと今年も咲かないのだろうと思っていたら、次々と鮮やかでいて淡く美しい花を咲かせてくれた。その姿を観て「かまってあげられなくてゴメンね」と想った。咲かなかった時の紫陽花は、愛でることも手を掛けることも、あまりしない新しい家主を観て反抗したのかも。あるいは悲しみに暮れていたのではないかと反省した。

西洋の華やかな花に代表されるような薔薇も素晴らしい。けれど紫陽花のわびさびのある佇まい、繊細さ、穏やかな性格をとても愛おしいと思うようになった。

 

- 主婦 Y.K.-