スポーツ雑記9月号

スポーツ雑記9月号

コロナ禍で史上初の試みとして8月10日から17日まで開催された「甲子園高校野球交流試合」は、16試合がどれも熱戦で見ているものを感動させてくれた。とりわけ、帯広農が、高崎健康福祉大高崎(群馬)を4-1で破り、甲子園初勝利を挙げた1戦はお見事だった。21世紀枠のチームが地区代表チームに勝つのは15年松山東以来5年ぶり。相手は昨秋の関東大会優勝、明治神宮大会準Vの強豪校だったが、臆することなく「堅実野球」で大きな1勝をつかんだ。
とにかく笑顔で、とにかく全力で。82年夏以来38年ぶりとなる大舞台を満喫する帯農ナインの喜びが、こちらにもひしひしと伝わってきた。コロナ禍で5月20日に夏の甲子園中止が決まった際、3年生部員の大半が引退を考えたという。6月上旬に北海道独自大会開催が決まり、再び前に踏み出した。引退を考えた1人だったという主将の井村塁投手(3年)は「帯農の伝統を受け継ぎ、最後に甲子園で勝てて良かった」と喜んだ。
農業校ならではの取り組みが実った。冬場、野菜を管理する雪室を実習室につくる作業がある。スコップでコンテナに約10キロの雪を詰める作業をひたすら繰り返す。足が不安定な中での作業は下半身強化につながった。大豆の選別実習は約1時間、ピンセットや指を使って、傷のあるもの、サイズが足りないものを休みなく仕分けする。これが集中力を養うのに役立ったという。
また、部員の半数が農家の後継者であるため、コロナ禍で学校のグラウンドで練習できない期間は、実家が農家の選手は広大な敷地を使って体力維持に努めてきた。ビニールハウス内でキャッチボールを続け、ボール感覚を忘れないようにしていた選手もいた。3回、5回、6回のいずれも無死一塁のピンチを併殺で打ち取る堅守につながったのだろう。
敗れたとはいえ、しんがりの最終戦で登場した白樺学園の戦いぶりも本当に素晴らしかった。また、惜しくも甲子園には出場できなかったが、南北海道大会を制した札幌第一、北北海道大会を制したクラークの〝特別な夏の覇者〟の選手、指導者の皆さんにもひときわ大きな拍手を贈りたい。さわやかな旋風を甲子園に巻き起こした帯広農、秋の地区大会(十勝支部は9月12日開幕)を目指し新チームが20日に始動した。

<日刊スポーツ長内 準>