スポーツ雑記5月号

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新型コロナウイルス感染拡大により東京五輪の開催は1年延期となったが、異国の地である北海道から代表切符獲得へ向け、厳しい稽古に汗を流す選手がいる。北広島市にある星槎道都大のブータン人留学生のタンディン・ワンチュク、キンレイ・ツェリン(ともに2年)だ。柔道部に所属する2人は、星槎グループ奨学金で昨年4月に来日し、IOC(国際オリンピック委員会)が認める特別枠で同国初の五輪出場を狙っている。

同大を運営する星槎グループでは2000年代にサッカーの留学生を初めて迎えてから、発展途上国の留学生を数多く受け入れている。現在ではブータン7人、エリトリア、ミャンマーなど計14人(スポーツ以外の分野でも2人)。独自の奨学金で授業料や生活費の金銭的援助だけでなく、生活面でもサポートしている。

2人が生まれ育ったブータン王国は、人口約75万4000人でヒマラヤ山脈の東端に位置し、国土の約7割が森林地帯。柔道の歴史が始まったのは10年で、標高2300メートルの首都ティンプーにある学校に道場が作られてからだ。過去に同国からの五輪代表は21人(男子8人、女子13人)いるが、アーチェリー19人と射撃2人。柔道競技からは国内初となる。

2人が東京五輪に出場するためには、IOCの特別枠がブータンの柔道に割り振られ、同国代表に選出されることが条件。73キロ級のタンディン、66キロ級のキンレイはともに昨年8月の世界選手権(東京)に出場(初戦敗退)、同12月の南アジア選手権(ネパール)では銅メダルを獲得するなど、同国ではトップクラスの実績がある。

リオ五輪73キロ級金メダリストの大野将平(旭化成)の動画を見て憧れたというタンディンは幼馴染のキンレイとともに「いっぱい練習して力をつけたい」と声をそろえた。ブータン初の五輪代表へまさに〝柔道一直線〟の挑戦を応援したい。<日刊スポーツ長内 準>

<写真説明>

東京五輪出場を目指す星槎道都大柔道部のブータン留学生キンレイ(左)とタンディン