「わがまち遺産」 またいつの日か

「わがまち遺産」 またいつの日か

今年3月、朝日新聞北海道版で4年間続いた「わがまち遺産」というコーナーが終わりました。自然や文化財、特産品などの「遺産」をゆかりの人たちを交えて紹介する企画です。毎週日曜日の掲載で、記者が持ち回りで担当しました。2016年5月の第1回は札幌ススキノのダンスクラブ「キング∞ムー」でした。「踊る不夜城『ムー大陸』浮上」というグルービーな見出しに、記者のテンションの高さを感じます。
ムー大陸の魔力のせいか、記者たちはガイドブックに掲載されないような「お宝」を好んで取材しました。17年5月の「北大ジンパ」(札幌市)、18年1月の「しおA字フライビスケット」(同)、20年2月の「特産イバラガニの『から酒』」(網走市)など。もちろん「囚人が命削った開拓の歴史 月形樺戸博物館」(月形町)など、北海道の歴史そのものと言えるストロングスタイルの記事も。記者のセンスや力量が問われ、労力はかかりましたが、皆、腕まくりで挑んでいました。
終了直前の3月、私も2度目の担当が回り、三菱美唄炭鉱で1946年に起きた大衆団交の様子を描いた「人民裁判の絵」(美唄市)を取りあげました。炭鉱労組側が会社幹部を36時間拘束し、公衆面前で行った団交を記録した油絵です。絵を描いた方からお話を伺い、北海道と炭鉱の歴史は切り離せないと実感しました。現物は一般非公開の「秘宝」ゆえ、地元の方からも問い合わせがありました。
道外出身の私にとって、北海道の歴史を深く学ぶ機会を与えてくれた企画です。150回目の「鴨々川」(札幌市)を最後に終わりましたが、いつか復活することを期待しています。17年以降分は「朝日新聞デジタル」の北海道のサイトに掲載されています。コロナ禍で大変な時期ですが、いずれ感染が終息して旅行に行けるような状況になりましたら、是非ご参考にと思います。

朝日新聞北海道報道センター記者 磯部征紀

 

【写真説明】
人民裁判の絵=美唄市